子どもを叱りすぎてしまうお母さんの心理
最近、学校現場で働く友人から一人の中学生の話を聞きました。母子家庭でお母さんは一生懸命子育てをされているのですが、子どもに対して厳しくするあまり親子関係が上手くいかなくなっているように感じ、と友人は話していました。
思春期になると親の厳しさに反抗する子、そしてそれに対して(子どもを正しい道に導こうと)さらに厳しくする親という悪循環に陥る親子がいます。
今回の友人の話に出てきた親子とは実際にお会いしたわけではありませんが、ひとり親家庭にはよくあることなので、今回は「叱りすぎてしまうお母さん」についての一言です。
ひとり親になって子どもをきちんと育てようと思えば思うほど、子どもに厳しくしてしまうという傾向はお母さんに強く現れます。特に、真面目で責任感の強いお母さんであればあるほどです。
以前、ひとり親が子育てをする際に必要な男性性と女性性について書きました。
ここで言う男性性と女性性とは、親で言うなら父性と母性ですね。子どもが健全に育つためにはこの両方がバランスよく与えられることが大切です。母性とは「包み、与える性質」、父性とは「ルールや規則を教え、自立させようとする力」とイメージしていただければいいと思います。
では、どちらがどれだけ与えられることが適切なのかというと、割合としては母性7・父性3くらいがベストです。
でも、ひとり親になり、子どもをきちんと育てようとするお母さんほど母性の割合が少なくなりがちです。子どものやるべきことをきちんとさせる、規則を守らせる、自立させようとしつけをするのは決して間違ったことではありません。
でも、父性からの厳しさを受け入れるためには、子どもの心がまずは「受け止められていること」が必要です。そう、子どもの心を「受け止める」役割は、母性が担っています。
ですから、ひとり親で子供をきちんと育てたいと思っているお母さん(お父さん)は、まずは子どもの気持ちを受け止めることを基本にしてほしいと思います。子どもの気持ちを受け止めるというとわかりにくいかもしれませんが、「子どものおしゃべり相手になる」「時々は子どものリクエストにこたえて食事を作ってあげる」など簡単なことでいいのです。決して難しいことではありませんね。
そうして日頃からしっかり子どもの気持ちを充電してあげていれば、いざと言う時の厳しさも子どもの心は折れずに受け入れることができます。母性で受け止めるのは、子どもとの信頼関係を築くことにも似ています。子どもがしっかりと「愛されている」と感じられること、親子関係を良好にするためには、厳しさの前にまずは母性です。
子どものことを想っている、頑張り屋さんで責任感の強いお母さんこそ頭の片隅に「母性」を置いておいてくださいね。